不在の父 1
私の父は元々公務員だった
あまり喋る人でもないし
感情をあらわにすることもなく
何を考えているのかもわからない
ちがう意味で怖い
というか、気味が悪い人だった
乾いた笑いの下に何があるのかな と感じていた
酔っ払うと
外に向かって大声を出している
それでやっと
この人にも気持ちがあるんだなと
確認する
もっと言うと
父という名の人はいたが
うちに父はいなかったのである
その場合、母が父の代わりを担ったりするのだが
うちの場合は全く機能していなかったと思う
感情丸出しで侵入する母だったから
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父とは競馬場やパチンコ屋さんに行った記憶がある
あとはその場で好きに遊んでてと言う
パドックを眺めたり
芝生に寝転んで
赤鉛筆だけで競馬新聞にお絵描きしたり
描いたものを見せても大体無反応で
関われば関わるほどがっかりする人だった
小学3年の時に弟が生まれ
その頃からなにやら家の中の空気が更におかしくなっていった
毎日、男の人から電話がかかってくるようになり
私が電話係になった
男 「おとうさんいる?」
ワタシ 座っている父を見ながら 「今いません」
男 「居るのはわかってるんだよね、代わってもらえる?」
ワタシ 「いません」
毎日このやりとり
玄関にたくさん張り紙が貼られるようにもなった
借金取り
2,3年続いたと思う
夜、電気をつけて食事ができない時もあった
台所の床に新聞紙をひいて
弟にご飯を食べさせる
キャンプしてるみたいで
面白かったけどね
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私が大人になってから
父に聞いてみたことがある
公務員だったのに
なぜ借金があったのか
当時で一体いくらの借金だったのか
弟に対して何か想いはあるか
・・・。
俺も大変だったんだよ ってひと言
全く答えになっていない 笑
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