１０代を捧げた人 (終)
高橋 友里安最後に逢ったのは成人式の頃でした
(同級生あるあるですね)
私は沖縄から１週間帰省します
この時、彼は結婚が決まっていました
早めに結婚したいということは聞いていましたが
同窓会も終わって
さあ帰ろうとなった時
「こっちこっち」
目で合図してきます
｢お、２年前のテンポが戻ってきたぞ｣ と
少し嬉しい気持ちをなだめながら車に乗ります
助手席に酔いつぶれた ”奥さんになる人”を
眺めながら
すると
彼はその ”奥さん” を家へ送り届けて
私を乗せたまま
車はどんどんアクセル全開で南下していきます
は？
２年ぶりのドライブです
キーホルダーをくれた時も
顔を撫でてくれた時も
学ランを貸してくれた時も
黙って愛を注ぐ人
そしてこれが最後のドライブになりました
２人で見る最後の朝焼けでした
彼と出逢ったことで
私は人を視るとき
その人の言葉そのものより
行動をみるようになりました
言葉では何とでも言えます
でも行動やたたずまいを視ると
その人の本質がわかる気がします
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
数年後
私は子どもを産んだ時
この１０年間の大切な想いを込めて名付けをしました
この１０年がなかったら
この子達は生まれてきていません
そして
風の便りで
彼に２人 子どもが生まれていることを知ります
名前を聞いて吹き出しました
２人のお名前の中に
私の名前で使っている漢字が
それぞれ１文字ずつ使われていたからです
(たまたまだと思いますが、真相はわかりません)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
想いをもっと言葉にしていたら
どうなっていたんだろうと思うことはあります
でも今回の人生ではこういうご縁だったのだと
たぶん一緒にはならないご縁だと
そんな気がするんです
あと数日、連絡を早くしていたら…
あとちょっと待ってたら…
そういう話が、タイミングがたくさんありました
そして地元でしっかりと根を張って生きていきたい彼
ここから飛び立って自由になりたい私
見据える人生の行き先も全く違っていました
今は
「黙って愛させてくれてありがとう」
そんな言葉が出てきます
♫時間の風が恋のキズを 白く染めて
甘く優しく変える
あなたに逢えて良かった 今はそう思うの
この青い空のしたで wow wow wo-
抱きしめたい あの日の全部を 強く wow wow wo-
(♫SEVEN YEARS AFTER)
ささやかな庶民の昔話です
読んで頂いた方へ
ありがとうございました
2025/02/14 バレンタインデーに寄せて
お・わ・り😊
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