10代を捧げた人 (4)

中学校3年生のクラスは
少し雰囲気がゆるいクラスだった

悩みを話せる友達もできた
(この友達は今も連絡を取り合っている)

何をやってもポンコツなクラスで
隣のクラスの生活指導の先生が
うちの担任を押しのけて喝を入れに来るほどだった

担任の先生は国語の先生で
不思議な空気を醸し出す人

教科書に書いてある物語を読んで授業中に泣いてしまうような先生

背が小っちゃいから
先生泣くなよ~ と頭を撫でてしまいたくなる人

後に校長先生にまでなったそうだが

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私達はというと

何となく教室の反対側の座席にいつも居た

2人とも必ず一番後ろというのは決まっていたので

彼が窓側の席なら私は廊下側
私が窓側なら彼は廊下側 みたいな配置

なぜか隣になることはなかった

話を擦り合わせた訳でもないけれど
いつもそんな位置関係にいて1年を過ごした

しかし、私が母とケンカをして
顔を殴られて学校に来たときは
黙って撫でてくれた

毎日母に対して4んで欲しいとさえ思っていた自分

そしたらこの年、彼のお父さんが亡くなってしまい
むせび泣く彼の兄妹を見ていて
「世の中って不条理に出来ているな」と感じた

かける言葉も浮かばず
放課後の教室から2人で
校庭の先に沈んでゆく夕陽を眺めた
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毎年の運動会
応援団に入った女子は
好きな男の子に学ランを借りる という慣習があるのだが

誰に借りようか考えあぐねていると
黙って学ランを貸してくれた
内側には龍の刺繍
ボンタンは4タック

JOHNNY KEYみんな履いてたよね 笑

私の手元に2枚だけ一緒に写っている写真がある
そのうちの一枚がこの年の運動会の写真

貸してもらった制服で
同じ方向を向いて
たぶん同じ物を見ている

貴重な写真

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このクラスでの最後の学校行事は合唱コンクールだった
最後の最後にこのポンコツクラス
優勝した

優勝カップを先生に渡したら
やっぱり先生泣いてしまった

今までの負債、すべて回収した気分だった

これが終わったら卒業式

この頃彼は、私の友達のことが好きになっていて
私はそれを知っていたから

このまま
封印したまま
終わりだな~と思っていた

菊池桃子さんの ”卒業” という歌が
頭の中をループする

♫ あのこ~ろの2人は~
話さえも できずに~
そばに~いる だけ~ でも
なにかを感じた~♫

卒業式の後
後輩にもみくちゃにされていた先に

かかとを踏んだ靴で
ポケットに手を入れたまま歩いてゆくその人を

私は見送った

投稿者プロフィール

高橋 友里安
高橋 友里安くれたけ心理相談室(庄内支部)心理カウンセラー
幸せの宝探しをお手伝いいたします。そして、ご自身の中に深い深い安堵感が得られるまでサポートいたします。 心理カウンセラー 高橋 友里安

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