おともだち・幸ちゃん(1)
今回ご紹介のおともだちは、小学校3年生時の同級生さっちゃん
彼女は学校では全くしゃべらなかった
だから私は声が出せない人なんだと思っていた
真っ黒の日本人形のような髪を肩まで伸ばしているが
お風呂にあまり入っていないようで、いつもボサボサだった
身体も小さくて、腕も細い
お父さんが、ゴミ収集の仕事をしていることで
男子から揶揄されて、いじめられていた
笑ったところも、泣いたところも見たことがなかった
私もそんな状況を教室の端から見ていて怖くて何もできずにいた
ある日、家の黒電話が鳴った
受話器を上げると向こうから
「もしもし、あたし!」
だれ?誰?ダレ?
困っていると
「さちこだよ さーちーこ!」 と言う
とても元気な声
初めてでびっくりした
昭和50年代は緊急連絡網というのがあって、同級生の家の電話番号をみんなが知っていた
それからは、彼女と教室の外で遊ぶようになった
学校にいる時とは全くちがい
お互い色んな話をした
お父さんのこと、兄弟がたくさんいること
あんまりご飯が食べさせてもらえないこと
家も学校もあまり好きじゃないこと
ドリフターズが好きなこと
そして絵を描くのが大好きなこと
1度髪を二つに結んであげたら、すごく喜んで
それ以来髪を結んで登校するようになっていた
しかしいつの間にか転校してしまっていた
彼女は嗅ぎ分けたのかもしれない
居場所がない似たもの同士
とても優しい時間だった
のちに彼女のような状態を”場面緘黙”というのだと知る
あの時電話をくれてありがとう
さっちゃんは絵描きさんになりましたか?
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